この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「そっか……ミケは、これを見越して私達を中に通したんだ……」
確かめるように見れば、ミケは今度は苦笑いを浮かべていた。
目が合うと、ちょいちょいと手招きされる。
准将にお腹を吸われまくっているネコが、顔だけ私の方を向いて、ニンマリと笑った。
『母もきょうだいも、これこのとおり勤しんでおるんじゃ。珠子も、責任を持って己の役目を果たせい』
将官達とネコ達の乱痴気騒ぎはまだまだ続きそうだ。
私はそれを横目に、扉の前にワゴンを残したまま上座へと移動する。
ミケは椅子に座ったまま、澄ました顔をして自分の膝をポンと叩いて見せた。
「タマ、誰よりも癒やしを必要としているのは、私だと思うんだが?」
お疲れ王子を癒やすこと──これは、お茶を淹れるよりも大事で、急を要する私の仕事。
今日もまた、私は猫みたいにミケの膝に抱っこされ、心行くまで吸われるのだった。