この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜


『一昨日きやがれだにゃん!』


 大佐に慰められつつすごすごと去っていく革命軍の代表の背に、元祖チートがそう吐き捨てる。
 私は、彼のゴージャスな毛並みを撫でながらそれを見送った。
 左右の肩と頭の上では、子ネコ達もふんすふんすと鼻息を荒くしている。
 そこに後ろからもう一匹、彼らより一回りほど小さなモフモフがぴょんと飛んできた。

「ニー! ニーニー!」

 一際高い声で鳴いたその子に見覚えのあった私は、慌てて背後を振り返る。

「──トラちゃん?」
「タマコ……」

 柱の陰から顔を出したのは、今まさに私が説得するよう頼まれていたトラちゃんだった。
 どうやら、彼は隠れて話を聞いていたらしい。
 伯父である革命軍の代表が完全に立ち去ったのを確認すると、トラちゃんは柱の陰から出てきて私の前に立つ。
 一際小さな子ネコは、三日前、元祖チートとともにベルンハルト王国軍にミケの指示を届けたあの毛玉の成長した姿だった。
 すっかりトラちゃんが気に入ったらしく、あれ以来ずっと彼と行動を共にしている。
 私の両肩や頭に乗っていた子ネコ達とひとしきりじゃれ合うと、その子はまたトラちゃんの方へ戻った。
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