この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「殿下は……タマコ嬢と出会って、お変わりになりましたね」
「えっ、そうなんですか?」

 私と出会った時期というのは、戦争終結の時期と重なる。
 もしもミケが変わったというなら、後者の影響の方が大きいのではないかと思ったが、メルさんの見解は違うようだ。

「私は、ロメリア様に随従して早くから城に上がっておりましたが……殿下がタマコ嬢ほど密接に人と接していらっしゃるのは、見たことがありませんでした」
「あっ、距離近いなぁとは思ってましたけど、あれがミケのデフォ……えっと、基本的な状態じゃないんですね?」
「下々の者にも気さくに接してくださるので、もともと人望の厚い方でしたが……どこか一線を引いていらっしゃるように感じましたね。幼馴染でいらっしゃるロメリア様や指南役のミットー公爵閣下、その他の忠臣の方々に対してもです」
「そう……なんですか?」

 私は、今のミケしか知らないため比較のしようがない。
 ただ、メルさんの口ぶりは、彼のその変化を歓迎している風なので、自分が悪影響を及ぼしたと気に病む必要はなさそうだ。
 私はメルさんと連れ立って王妃様の部屋へと足を向けながら首を傾げた。
 
「私との出会い以降ってことは……初対面が衝撃的だったんですかね?」
「そうかもしれませんね。あの時は私もロメリア様も本当に驚きました。見知らぬ女の子が突然、殿下のお膝の上に裸で……」
「メ、ル、さんっ! その記憶はすみやかに消去してもらっていいですか!?」
「ふふ……失礼しました」

 メルさんを恨みがましげに見上げたところで、はたと気づく。
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