店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「ウィリアムも一緒にどうだい? 穴場を教えてやらんこともないぞ?」
「遠慮しておく。こちとら現役で仕事をしているもんでな。平日の早朝から隠居じじいどもと遊んでいる余裕はない」
一方、ジュニアは苦虫を噛み潰したような顔をしたかと思ったら、イヴに恨めしそうな目を向けた。
「うっわー……これ、俺は問答無用で同行させられるヤツじゃん。早起き苦手なのに……余計な伝言、しないでほしいんですけどー」
「申し訳ありません。コーヒーをご注文していただいた方からの伝言は、できる限り承るようにしておりますので……」
コーヒー一杯に付き、伝言一件。
これは、知る人ぞ知る『カフェ・フォルコ』のサービスだった。
ただし、当日の営業時間内──九時から十七時までの間に、伝える相手が店を訪れたり側を通りかかって、なおかつイヴが会話可能な状況であった場合に限る。
伝言はあくまでおまけであり、銀貨一枚の対価は最高のコーヒーを提供することのみ、というのが暗黙の了解の上で成り立つサービスである。
そのため、伝言を頼む客達の多くは、伝わったらいいな、くらいの感覚で利用している。
「遠慮しておく。こちとら現役で仕事をしているもんでな。平日の早朝から隠居じじいどもと遊んでいる余裕はない」
一方、ジュニアは苦虫を噛み潰したような顔をしたかと思ったら、イヴに恨めしそうな目を向けた。
「うっわー……これ、俺は問答無用で同行させられるヤツじゃん。早起き苦手なのに……余計な伝言、しないでほしいんですけどー」
「申し訳ありません。コーヒーをご注文していただいた方からの伝言は、できる限り承るようにしておりますので……」
コーヒー一杯に付き、伝言一件。
これは、知る人ぞ知る『カフェ・フォルコ』のサービスだった。
ただし、当日の営業時間内──九時から十七時までの間に、伝える相手が店を訪れたり側を通りかかって、なおかつイヴが会話可能な状況であった場合に限る。
伝言はあくまでおまけであり、銀貨一枚の対価は最高のコーヒーを提供することのみ、というのが暗黙の了解の上で成り立つサービスである。
そのため、伝言を頼む客達の多くは、伝わったらいいな、くらいの感覚で利用している。