店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
 ぱっと顔を輝やかせたイヴだったが、しかしすぐに迷うそぶりを見せた。
 どうした、と問うウィリアムに、彼女は困った表情で続ける。

「もう一つ、お預かりしている伝言があるんです。でも、今日はまだ相手の方が見えていなくて……」

 イヴが預かる伝言は、その日の内に伝えられなければ無効になるのが暗黙の了解なのだが……

「どうしても、伝えて差し上げたいことなんですけど……ウィリアム様、こういうのはアリでしょうか?」
「いいんじゃないか。イヴが個人的に誰かに何かを伝えることに文句をつけるような輩がいたら、私が相手をしてやろう」

 そんな頼もしい兄役の言葉に、イヴはたちまち笑顔になる。
 それに目を細めたウィリアムは、よし、と頷いて両手を一つ打ち鳴らした。

「では、夕飯の前に、その伝言の相手とやらを探しに行こうじゃないか」
「はい」
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