店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「兄さんは……まだ、ヒト族の国を探しているのでしょうか?」
店を閉め、エプロンドレスとヘッドドレスを外して完全に仕事から離れたイヴは、預かった伝言の相手を求めて王城の庭を歩いていた。
小柄なイヴに歩調を合わせていたウィリアムは、彼女がぽつりと零した疑問に一瞬考えるようなそぶりをしてから口を開く。
「なんでも、コーヒーを嗜好品にしたのはヒト族だという話だからな。オリバーは、歴代のフォルコ家当主の例に違わぬコーヒー狂だ。その原点であるヒト族に興味があるのだろう」
各地の山中に自生するコーヒーの木の実は、地殻変動以前よりさまざまな種族の間で食用とされてきたが、その種子を加工してコーヒーという飲み物に仕立て上げたのはヒト族であると言い伝えられている。
当初は、焙煎した匂いや苦味が獣の習性が強い他の種族には受け入れられず、代わりに紅茶が嗜好品としての人気を独占していたらしい。
そんな中で、どういうわけかコーヒーの魅力に取り憑かれてしまったのが、フォルコ家の初代であった。
店を閉め、エプロンドレスとヘッドドレスを外して完全に仕事から離れたイヴは、預かった伝言の相手を求めて王城の庭を歩いていた。
小柄なイヴに歩調を合わせていたウィリアムは、彼女がぽつりと零した疑問に一瞬考えるようなそぶりをしてから口を開く。
「なんでも、コーヒーを嗜好品にしたのはヒト族だという話だからな。オリバーは、歴代のフォルコ家当主の例に違わぬコーヒー狂だ。その原点であるヒト族に興味があるのだろう」
各地の山中に自生するコーヒーの木の実は、地殻変動以前よりさまざまな種族の間で食用とされてきたが、その種子を加工してコーヒーという飲み物に仕立て上げたのはヒト族であると言い伝えられている。
当初は、焙煎した匂いや苦味が獣の習性が強い他の種族には受け入れられず、代わりに紅茶が嗜好品としての人気を独占していたらしい。
そんな中で、どういうわけかコーヒーの魅力に取り憑かれてしまったのが、フォルコ家の初代であった。