店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「あっ、逃げた……」
イヴがポカンとその背を見送る一方、ニヤリと口の端を吊り上げたのはウィリアムだ。
「私に背中を向けたこと、後悔させてやろう」
そう言い終わるやいなや、彼の利き足が力強く地を蹴った。
イヴの目には、わずかな土煙りだけを残してその長身が消えたように見えたが……
「ひ、ひいっ……」
次の瞬間には、逃げ出したはずのオズの情けない悲鳴が上がる。
あっさりと追い付いたウィリアムが、目にも見えない速さで彼を確保したのだ。
さらには、往生際悪く暴れて逃れようとするのを地面に引き倒して後ろ手に拘束してしまう。
犯罪者でもないのに随分な仕打ちであるし、本来守るべき相手である王子殿下に容易く組み敷かれて、衛兵としては立つ瀬がないだろう。
しかも、庭園にいた者達が騒ぎを聞きつけて、なんだなんだと集まってきたものだから、公開処刑もいいところだ。
イヴは少しだけ申し訳ない気持ちになりながらも、地面に伏したオズの前に立った。
イヴがポカンとその背を見送る一方、ニヤリと口の端を吊り上げたのはウィリアムだ。
「私に背中を向けたこと、後悔させてやろう」
そう言い終わるやいなや、彼の利き足が力強く地を蹴った。
イヴの目には、わずかな土煙りだけを残してその長身が消えたように見えたが……
「ひ、ひいっ……」
次の瞬間には、逃げ出したはずのオズの情けない悲鳴が上がる。
あっさりと追い付いたウィリアムが、目にも見えない速さで彼を確保したのだ。
さらには、往生際悪く暴れて逃れようとするのを地面に引き倒して後ろ手に拘束してしまう。
犯罪者でもないのに随分な仕打ちであるし、本来守るべき相手である王子殿下に容易く組み敷かれて、衛兵としては立つ瀬がないだろう。
しかも、庭園にいた者達が騒ぎを聞きつけて、なんだなんだと集まってきたものだから、公開処刑もいいところだ。
イヴは少しだけ申し訳ない気持ちになりながらも、地面に伏したオズの前に立った。