店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
とたん、オズはウィリアムを跳ね除ける勢いで飛び起きた。
自分を取り押さえていたのが恐れ多い相手であることなど、この時の彼は忘れ去っていただろう。
オズはそのまま駆け出したものの、少し行った所でふいにイヴを振り返って叫んだ。
「伝言、ありがとう! ──鬼畜って言って、ごめんよっ!」
「次言ったらぶっ飛ばすぞ」
またも兄役が代わりに答えてしまったため、イヴはただヒラヒラと手を振るに留めた。
オズの姿は、さっきイヴから逃げようとした時とは比べ物にならないほどの速さで遠ざかっていき、瞬く間に視界から消えた。
それを見送るイヴの隣に立って、ウィリアムが苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、世話の焼ける……任務完了、ということでいいか? イヴ」
「はい、ウィリアム様。手伝っていただきありがとうございました」
一件落着といった二人の雰囲気に、遠巻きに見守っていた人々もほっとした様子で解散しかけた。
ところが、この直後のことである。
イヴの口から転がり出た言葉が、彼らをその場に引き止めることになった。
「ところで、ウィリアム様──モフモフしていいですか?」
自分を取り押さえていたのが恐れ多い相手であることなど、この時の彼は忘れ去っていただろう。
オズはそのまま駆け出したものの、少し行った所でふいにイヴを振り返って叫んだ。
「伝言、ありがとう! ──鬼畜って言って、ごめんよっ!」
「次言ったらぶっ飛ばすぞ」
またも兄役が代わりに答えてしまったため、イヴはただヒラヒラと手を振るに留めた。
オズの姿は、さっきイヴから逃げようとした時とは比べ物にならないほどの速さで遠ざかっていき、瞬く間に視界から消えた。
それを見送るイヴの隣に立って、ウィリアムが苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、世話の焼ける……任務完了、ということでいいか? イヴ」
「はい、ウィリアム様。手伝っていただきありがとうございました」
一件落着といった二人の雰囲気に、遠巻きに見守っていた人々もほっとした様子で解散しかけた。
ところが、この直後のことである。
イヴの口から転がり出た言葉が、彼らをその場に引き止めることになった。
「ところで、ウィリアム様──モフモフしていいですか?」