店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
2 伝言は「さようなら」
「──ええっ? リサさん、酸っぱいコーヒーを飲んだんですか!?」
「そうなのよー」
もともと紅茶派だったリサはコーヒーを飲んだことがなかったが、ダミアンが『カフェ・フォルコ』の常連だと知って興味を覚えたらしい。
「でもね、一口飲んで無理だったの。その後しばらくお腹の調子もよくなかったし、きっと私にはコーヒーが合わないんだと思ったのよね。それが、ちょうど半年くらい前のことかな」
「私がダミアンと付き合い始めた頃ね」
リサが『カフェ・フォルコ』に縁がなかったのは、最初に飲んだコーヒーが口に合わなかったせいだという。
しかし、よくよく話を聞くと飲んだのは自宅で、豆こそ『カフェ・フォルコ』のものだが、実際にそれを淹れたのはダミアンだった。
ダミアンが、ただ単に通ぶりたくて自分で淹れて失敗しただけなのか。
それとも、ヴェロニカへの伝言板代わりに利用していた『カフェ・フォルコ』に近付けさせないため、わざとリサにまずいコーヒーを飲ませたのかはわからないが……
「わざとのような気がしてきたわ。狡猾だもの、あの男」
「私もそんな気がする。ドン引きよね」
侍女達が苦虫を噛み潰したような顔でそう吐き捨てる中……
「そうなのよー」
もともと紅茶派だったリサはコーヒーを飲んだことがなかったが、ダミアンが『カフェ・フォルコ』の常連だと知って興味を覚えたらしい。
「でもね、一口飲んで無理だったの。その後しばらくお腹の調子もよくなかったし、きっと私にはコーヒーが合わないんだと思ったのよね。それが、ちょうど半年くらい前のことかな」
「私がダミアンと付き合い始めた頃ね」
リサが『カフェ・フォルコ』に縁がなかったのは、最初に飲んだコーヒーが口に合わなかったせいだという。
しかし、よくよく話を聞くと飲んだのは自宅で、豆こそ『カフェ・フォルコ』のものだが、実際にそれを淹れたのはダミアンだった。
ダミアンが、ただ単に通ぶりたくて自分で淹れて失敗しただけなのか。
それとも、ヴェロニカへの伝言板代わりに利用していた『カフェ・フォルコ』に近付けさせないため、わざとリサにまずいコーヒーを飲ませたのかはわからないが……
「わざとのような気がしてきたわ。狡猾だもの、あの男」
「私もそんな気がする。ドン引きよね」
侍女達が苦虫を噛み潰したような顔でそう吐き捨てる中……