店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「そうだ! ねえ、あなた。一杯奢るから飲んでみなさいよ。あんな男のせいでコーヒー嫌いになったんだとしたら、もったいないわ」
彼女はそう言うと、リサの返事も待たずに銀貨を一枚料金箱に落とした。
「イヴちゃん、腕の見せどころよ。コーヒーの名誉を回復してちょうだい!」
「かしこまりました。誠心誠意努めさせていただきます」
ヴェロニカに発破をかけられて、イヴも俄然張り切る。
酸化したコーヒーを飲まされたリサは酸味にトラウマがあるようなので、それを抑えたものがいいだろう。
コーヒー豆とはそもそもコーヒーチェリーの種子であるため、本来の酸味は果実由来のものある。豆の劣化による酸味とはまったく別ものであり、コーヒーが持つ基本の味の一つではあるが……
「焙煎の時間を長くすることで酸を熱で分解し、酸味を控えめにすることができます。ただし、深煎りだと苦味も増しますので、今回は中煎りから中深煎りした豆を使いましょう」
「私、紅茶はいつもミルクを入れて飲むんだけど」
「でしたら、コーヒーもミルクを入れておいしく飲んでいただけるものにしますね。豆は、苦味と酸味が控えめなものに、香りとコクが豊かなものをブレンドして……」
「いつも深く考えないで飲んでいたけど……こうして見てみると、コーヒーってなんだか化学実験みたいねぇ?」
リサとヴェロニカは仲良く並んでカウンターに頬杖を突き、フサフサの三角の耳をピンと立ててイヴの仕事ぶりを眺めていた。
ついさっき、一人の男を巡って取っ組み合いをしかけたなんて嘘のようだ。
イヴがブレンドした粉にお湯を注ぐと、彼女達は揃って鼻をヒクヒクさせた。
彼女はそう言うと、リサの返事も待たずに銀貨を一枚料金箱に落とした。
「イヴちゃん、腕の見せどころよ。コーヒーの名誉を回復してちょうだい!」
「かしこまりました。誠心誠意努めさせていただきます」
ヴェロニカに発破をかけられて、イヴも俄然張り切る。
酸化したコーヒーを飲まされたリサは酸味にトラウマがあるようなので、それを抑えたものがいいだろう。
コーヒー豆とはそもそもコーヒーチェリーの種子であるため、本来の酸味は果実由来のものある。豆の劣化による酸味とはまったく別ものであり、コーヒーが持つ基本の味の一つではあるが……
「焙煎の時間を長くすることで酸を熱で分解し、酸味を控えめにすることができます。ただし、深煎りだと苦味も増しますので、今回は中煎りから中深煎りした豆を使いましょう」
「私、紅茶はいつもミルクを入れて飲むんだけど」
「でしたら、コーヒーもミルクを入れておいしく飲んでいただけるものにしますね。豆は、苦味と酸味が控えめなものに、香りとコクが豊かなものをブレンドして……」
「いつも深く考えないで飲んでいたけど……こうして見てみると、コーヒーってなんだか化学実験みたいねぇ?」
リサとヴェロニカは仲良く並んでカウンターに頬杖を突き、フサフサの三角の耳をピンと立ててイヴの仕事ぶりを眺めていた。
ついさっき、一人の男を巡って取っ組み合いをしかけたなんて嘘のようだ。
イヴがブレンドした粉にお湯を注ぐと、彼女達は揃って鼻をヒクヒクさせた。