店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「お待たせしました、ブレンドコーヒーでございます」

 やがて出来上がったミルク入りのブレンドコーヒーを、リサがおそるおそる手にとった。
 イヴとヴェロニカが固唾を呑んで見守る中、そっとカップに口をつけ……

「──わっ、おいしい! うそ……前のと全然違うわ! 香りもすごくいい!」
「でしょう!」

 とたん、ぱっと顔を輝かせる。
 ヴェロニカはさもあらんと頷き、イヴはほっと胸を撫で下ろした。
 それから、ゆっくりとコーヒーを味わったリサは、感慨深げなため息をついて言う。

「危なかった……私、浮気男のせいで人生損するところだったわ」

 もはや名前さえ呼んでもらえないダミアンに、イヴもヴェロニカも同情してやるつもりはなかった。
 やがて、ブレンドコーヒーが入っていたカップが二つ、空になる。
 それをカウンターに戻したリサとヴェロニカは、何やら目と目で会話をしたかと思ったら、二人してイヴに向き直った。

「伝言、お願いできるかしら?」
「私達二人の、連名で──」
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