店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「──いい加減にしろっ!!」


 爆風のごとく吹き付けた怒声に、ネコもネズミも、ついでにイヴが握りしめていたカップまでも吹っ飛んだ。
 声の主はウィリアムだ。
 イヴはとっさにカップを追いかけようとしたが、横から伸びてきた彼の手にさっと抱き上げられてしまう。
 そのままウィリアムが立ち上がったものだから、彼女の視界は一気に高くなった。

「そこのネコとネズミ、イヴを巻き込むな! よそでやれ! 原始の関係に戻りたいというのなら、裏山にでも行って好きなだけやり合ってこいっ!!」
「えっ……やだにゃー……」
「わたくしめも、いやです……」

 一方、五百年余りを生きる獣人二名は、小さくなった。
 なにしろウィリアムは、生粋の獣人よりも強いと言われる類い稀なる先祖返り。
 それでなくても、本気になったオオカミにネコもネズミも敵うはずがないのだ。
 そんなアンドルフ王国最強の腕の中にいるイヴはというと……
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