店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
「──の議席剥奪について、満場一致で可決します」
張りのある若い男の声が、容赦無く断罪を下すがごとくそう言い切った。
異議を唱える者はない。
ある者は押し黙り、ある者は唸るような声を上げてただただ頷いた。
十五時、大会議室。
王宮の三階にあるこの部屋では、王国の要人を集めた定例会議が開かれていた。
円卓を囲んで用意された十六の席のうち、一つだけがかれこれもう一年余り空いたままになっている。
その席が、次の会議からは用意されないことが、今しがた決定したところだった。
会議室には、重苦しい空気が満ちている。
ところがそれも長くは続かなかった。
憂鬱な気分を払拭するような存在が、大会議室の扉をノックからだ。
「──失礼します」
会議の終了を待っていたかのように、侍女頭に伴われて扉を潜った相手を見て、議長を務めていた第一王子ウィリアムは金色の目を丸くする。
「イ──」
「イヴぅう!?」
大会議室に現れたのは、オリーブ色のワンピースの上に白いエプロンドレスを重ね、黒髪にヘッドドレスを付けた少女、イヴである。
そんな彼女のもとに、声をかけようとするウィリアムを遮って真っ先に飛んでいったのは、扉に近い場所にいた金色のモフモフだった。
張りのある若い男の声が、容赦無く断罪を下すがごとくそう言い切った。
異議を唱える者はない。
ある者は押し黙り、ある者は唸るような声を上げてただただ頷いた。
十五時、大会議室。
王宮の三階にあるこの部屋では、王国の要人を集めた定例会議が開かれていた。
円卓を囲んで用意された十六の席のうち、一つだけがかれこれもう一年余り空いたままになっている。
その席が、次の会議からは用意されないことが、今しがた決定したところだった。
会議室には、重苦しい空気が満ちている。
ところがそれも長くは続かなかった。
憂鬱な気分を払拭するような存在が、大会議室の扉をノックからだ。
「──失礼します」
会議の終了を待っていたかのように、侍女頭に伴われて扉を潜った相手を見て、議長を務めていた第一王子ウィリアムは金色の目を丸くする。
「イ──」
「イヴぅう!?」
大会議室に現れたのは、オリーブ色のワンピースの上に白いエプロンドレスを重ね、黒髪にヘッドドレスを付けた少女、イヴである。
そんな彼女のもとに、声をかけようとするウィリアムを遮って真っ先に飛んでいったのは、扉に近い場所にいた金色のモフモフだった。