店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
わざとらしい咳払いをしてウィリアムが話を遮った。
ともあれ、ここまでのやりとりを見れば、イヴとルーシアの関係が良好であることはもはや疑いようもないだろう。
しかし、この状況にいまだついていけないジュニアが、金色の頭をぐしゃぐしゃしながらなおも続けた。
「コーヒーなんかって言ったのは!? あれはいったい何だったんですか!?」
「コーヒーなんか、とは何だ。ぶっ飛ばすぞ」
コーヒー過激派がすかさず反応したが、イヴはそんな兄をさらりと無視して答える。
「あれは、〝誰がコーヒーなんか飲むものですか。だってお父様から禁じられているんですもの。ごめんなさいね。でもいつかイヴのおすすめを飲んでみたいわ〟の略ですよ」
「本当に!? その行間の読み方で、本当にあってます!?」
「いつかイヴのおすすめを飲んでみたいわ」
「あってた!!」
ルーシアをはじめ、メイソン公爵家の人間はコーヒーを口にすることを許されていない。
純血回帰を謳うメイソン公爵家にとって、ヒト族はオオカミ族の血統を汚した諸悪の根源。そんなヒト族がもたらしたコーヒーもまた、かの家にとっては悪魔の飲み物という位置付けなのだ。
オリバーの母が、祝福されてフォルコ家に嫁いだわけではないのも明白だろう。
一年前、メイソン公爵が『カフェ・フォルコ』を襲撃したのにも、コーヒーに対する憎悪が根底にあったから。
ちなみにあの時、直前にイヴを店から連れ出して助けたのは、ルーシアだった。
ともあれ、ここまでのやりとりを見れば、イヴとルーシアの関係が良好であることはもはや疑いようもないだろう。
しかし、この状況にいまだついていけないジュニアが、金色の頭をぐしゃぐしゃしながらなおも続けた。
「コーヒーなんかって言ったのは!? あれはいったい何だったんですか!?」
「コーヒーなんか、とは何だ。ぶっ飛ばすぞ」
コーヒー過激派がすかさず反応したが、イヴはそんな兄をさらりと無視して答える。
「あれは、〝誰がコーヒーなんか飲むものですか。だってお父様から禁じられているんですもの。ごめんなさいね。でもいつかイヴのおすすめを飲んでみたいわ〟の略ですよ」
「本当に!? その行間の読み方で、本当にあってます!?」
「いつかイヴのおすすめを飲んでみたいわ」
「あってた!!」
ルーシアをはじめ、メイソン公爵家の人間はコーヒーを口にすることを許されていない。
純血回帰を謳うメイソン公爵家にとって、ヒト族はオオカミ族の血統を汚した諸悪の根源。そんなヒト族がもたらしたコーヒーもまた、かの家にとっては悪魔の飲み物という位置付けなのだ。
オリバーの母が、祝福されてフォルコ家に嫁いだわけではないのも明白だろう。
一年前、メイソン公爵が『カフェ・フォルコ』を襲撃したのにも、コーヒーに対する憎悪が根底にあったから。
ちなみにあの時、直前にイヴを店から連れ出して助けたのは、ルーシアだった。