すずらんを添えて 幸せを
第八章 夜空の語らい
「鈴!蘭!」

お母さんの声がして、私は天を振り仰いだ。

尊とお姉ちゃんとしっかり手を繋いだまま、身体はどんどん上へと昇って行く。

やがて手を伸ばしているお父さんとお母さんに腕を掴まれ、グイッと引き上げられた。

勢い余って地面に倒れ込んだ私達を、お父さんとお母さんが強く抱きしめる。

「良かった!みんな無事か?尊くんも?」

「はい、大丈夫です」

尊が答えると、お父さんはホッとしたように肩の力を抜く。

お母さんは涙を流しながら、私達をひたすら抱きしめていた。

「大丈夫だった?酷い目に遭ったりしなかった?」

お母さんの言葉に、私は大きく首を振る。

「全然。とっても素敵な時間だったよ」

え?と、お母さんはお父さんと顔を見合わせて首をひねる。

私はお姉ちゃんと尊に笑いかけて、3人で頷き合った。
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