すずらんを添えて 幸せを
「みんな、今日はお疲れ様。暑い中、今まで野球部の為にありがとう。明日からはコンクールに向けて全力投球だ。俺達も野球部に負けずがんばろう!」
「はい!」
球場の外でミーティングをした後、それぞれ家路につく。
私はくるみと一緒に電車に乗った。
最寄り駅で降り、いつものように、バイバイ!とくるみに手を振る。
さて、帰ろうと向きを変えた時、またしても蘭!と奏也先輩の声がした。
「先輩?どうしてまた?」
「うん、貸してた楽器を受け取ろうと思って」
「あ、それなら私が調整に出してから、改めて学校に持って行きますから」
「いや、本当に調整はいいんだ」
「でも…」
「えっと、ほら。コンクールまでにメイン楽器に何かあった時、これがないと困るかもしれないからさ」
「なるほど、そうですね。でもそれなら余計にすみませんでした。セカンド楽器とはいえ、大事な楽器なのに」
「いいんだ、気にするな」
先輩は私の手から楽器を受け取ると、じゃあ、また明日!と手を挙げて、タタッと反対側のホームへと向かう。
その姿を見送りながら、ふと考えた。
(先輩、いつも私が一人になるタイミングで声をかけてくれてる?)
それに、私が楽器を持ち歩かなくていいように気を遣ってくれている気がする。
そうだ。
だから前回も、私のマンションまで来てから話を切り出したんだ。
(先輩…)
私はしばらくホームに佇み、向かい側のホームから電車に乗り込む先輩を見つめていた。
「はい!」
球場の外でミーティングをした後、それぞれ家路につく。
私はくるみと一緒に電車に乗った。
最寄り駅で降り、いつものように、バイバイ!とくるみに手を振る。
さて、帰ろうと向きを変えた時、またしても蘭!と奏也先輩の声がした。
「先輩?どうしてまた?」
「うん、貸してた楽器を受け取ろうと思って」
「あ、それなら私が調整に出してから、改めて学校に持って行きますから」
「いや、本当に調整はいいんだ」
「でも…」
「えっと、ほら。コンクールまでにメイン楽器に何かあった時、これがないと困るかもしれないからさ」
「なるほど、そうですね。でもそれなら余計にすみませんでした。セカンド楽器とはいえ、大事な楽器なのに」
「いいんだ、気にするな」
先輩は私の手から楽器を受け取ると、じゃあ、また明日!と手を挙げて、タタッと反対側のホームへと向かう。
その姿を見送りながら、ふと考えた。
(先輩、いつも私が一人になるタイミングで声をかけてくれてる?)
それに、私が楽器を持ち歩かなくていいように気を遣ってくれている気がする。
そうだ。
だから前回も、私のマンションまで来てから話を切り出したんだ。
(先輩…)
私はしばらくホームに佇み、向かい側のホームから電車に乗り込む先輩を見つめていた。