すずらんを添えて 幸せを
「蘭、今日のコンクール、がんばってね!」

翌朝、お母さんは出勤前に私にガッツポーズをしてみせる。

「応援は鈴に任せたから。聴きに行けなくてごめんな。がんばれよ!」

お父さんも肩を叩いて励ましてくれた。

「うん、がんばってくる」

玄関でお母さん達を見送ると、私も支度を始めた。

「蘭、髪の毛結んであげる」

お姉ちゃんが私の髪をポニーテールにしてから、結び目にクルクルと毛先を巻いて可愛く仕上げてくれた。

「客席からありったけの愛とパワーを送るからね!」

「ふふっ。ありがとう!」

私はお姉ちゃんに笑いかけてから、玄関で靴を履く。

「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい!蘭」

お姉ちゃんの頼もしい声に送られて、私は玄関を出た。
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