すずらんを添えて 幸せを
一つ前の学校の演奏が終わり、いよいよ舞台に移動する。

奏也先輩の隣に座って譜面台に楽譜を載せると、ふと先輩と目が合った。

すると先輩は、頬を緩めて小さく私に頷く。

大丈夫だ、と言われている気がして、私はホッと安心した。

やがて学校名と曲名、指揮者のアナウンスがあり、ホールは静まり返った。

先生が指揮台に上がり、ゆっくりとみんなを見渡してから、スッと指揮棒を構える。

先生の手の動きに合わせて、私達は一斉にブレスを取る。

初めの1音が、ホール中に華やかに響き渡った。
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