すずらんを添えて 幸せを
「お疲れ様ー!」
「やったねー!」

その日に予定されていた全ての学校の演奏が終わり、表彰式となる。

私達の学校は地区大会を突破し、県大会進出を決めた。

「えー、みんなお疲れ様。よくやった」

先生がミーティングで労いの言葉をかけてくれるが、表情はいつものままだ。

「無事に県大会に進んだが、君達はまだまだこんなもんじゃない。もっと上を目指せる。その為には今日の演奏を更に進化させなくては。明日から気合いを入れ直して、1から始めるつもりでがんばろう」

「はい!」

その後はすぐに解散するように言われて、みんなはそれぞれの帰り道を行く。

「蘭ー、帰るよ」

くるみに声をかけられて、私は戸惑った。

「あ、うん。くるみ、良かったら先に帰っててくれない?」

「へ?どうかしたの?」

「あの、ちょっとね」

すると後ろからポンと肩を叩かれた。
振り返ると、探していた奏也先輩が立っている。

「お疲れ、蘭。今日のところはさっさと帰るとしようぜ」

「は?あの…」

「じゃ、また明日な」

そう言うと軽く手を挙げて、いつものようにタタッと去って行く。

(お返事、いいのかな…)

私は首をひねりつつ、くるみと一緒に駅に向かった。
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