すずらんを添えて 幸せを
「なあ、蘭。その、聞いちゃいけないのかもしれないけど」

帰りの車の中で、ハンドルを握りながら尊がポツリと話し出す。

「さっきおばさんが言ってた話って、その、どういう意味?」

私はなんて答えたらいいのか分からず、黙ったままうつむく。

「ごめん、立ち入った話だよな。でも、どうしても気になって。鈴ちゃんが頻繁に倒れるのには、何か訳があるのか?俺、子どもの時から鈴ちゃんを見てきたから、他人事とは思えないんだ」

そっか、と私も小さく呟く。

「そうだよね。尊は私達にとって家族も同然だもんね。ありがとう、心配してくれて」

「いや、散々世話になったのは俺の方だ。だからもし何か俺に出来ることがあったら、何でも言ってくれ。鈴ちゃんの力になれるなら、どんなことでもするから」

「ありがとう」

そう言った切り、私はまた口を閉ざす。

尊はしばらくはまだ何か言いたそうにしていたが、諦めたようにため息をつき、無言のまま車を走らせていた。
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