すずらんを添えて 幸せを
第十三章 つき合うって?
いよいよやって来た県大会当日。
私はくるみと一緒に電車で会場に向かう。

「私、地区大会の時はガチガチに緊張してたけど、なんだが今日はワクワクしてるんだー」

吊革につかまりながら、くるみは笑顔で言う。

「そうなの?なんで?」

緊張しないなんて、うらやましい。
私は地区大会の時とは比べ物にならないくらい、緊張していた。

「だってさ、奏也先輩と蘭のあのラブラブワールドが、大きなホールで聴けるんだよ。楽しみー!」

はいー?!と私は思わず眉間にしわを寄せる。

「何それ?どんなワールドよ?それにくるみ、あなたも演奏者なんだからね?ちゃんと吹いてよ?」
「吹くけどさ。あの部分は、ただひたすらうっとり聴き入っちゃう。素敵だもん。私、最初に練習で聴いた時、もうキュンキュンして感動して照れちゃって、大変だったんだからね?急にラブシーン見せつけられた感じでさ」

ああ、あの時くるみ、真っ赤な顔して、なんだかお目々ウルウルしてたもんね。

「でも今日は、どうよ?!って感じ。皆の者、心して聴くがいい!って」

「何よそれ?」

私は呆れて顔をしかめる。

「それくらい、蘭達の演奏が楽しみなの。ホールいっぱいに響かせてね。あの素敵な音を」

最後はニッコリ笑いかけられ、私はようやく素直に頷いた。
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