すずらんを添えて 幸せを
部屋のドアを後ろ手に閉めると、尊は私をベッドの縁に座らせた。

「蘭、父さんに聞いたんだけど。誰かに告白されたの?」

いきなりの直球質問に、私は思わずコクリと頷く。

「誰に?」

「えっと、部活の先輩」

「返事はしたの?」

「ううん。来年の3月に定期演奏会でまた一緒に演奏するから、その時にって」

「蘭、もしかしてなんて返事するか迷ってるの?」

「迷ってるっていうか、今はまだ考えてない」

「それって、迷ってるってことだよな?決まってたら、この先考える必要もないんだから」

そう言われるとそうかもしれない。
私は思わずうつむいて、尊の視線から逃れた。

尊は少し黙って考えてから、蘭、と真剣に私を呼んだ。

「はい」

そっと視線を上げると、尊はまっすぐに私を見つめた。
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