【女の事件】黒いマタニティドレス
最終回
9月1日の朝9時過ぎだった。

(ウーウーウーウーウーウー…)

こうじとむつみが暮らしていた家に愛媛県警《けんけい》のパトカー20台が到着した。

(バタン…ドカドカ…)

パトカーから警官たちが降りたあとハンマーを使ってドアをぶち壊した。

(ドスンドスンドスンドスンドスンドスン!!ガシャーン!!)

このあと、警官たちが家の中に入った。

この時であった。

寝室にまさみのひとり娘の遺体とむつみ母娘の遺体が発見された。

「課長!!女性ふたりと乳児の遺体を発見しました。」
「秋月こうじがやったに違いない!!みんな!!家じゅうを探せ!!証拠品を見つけろ!!」
「了解です!!」

このあと、愛媛県警《けんけい》による大規模な家宅捜索が始まった。

愛媛県警《けんけい》はこうじを殺人の容疑で逮捕するための逮捕状を発行した。

警察庁は、こうじを特別手配容疑者リストに再登録した。

悲劇は、祝行《のりゆき》の家でも発生した。

祝行《のりゆき》の家に、岡山のお菓子メーカーの本社でインターン勤務していた四女さんが突然帰って来た。

四女さんは、職場で暴力を振るわれたことを理由に内定を辞退した。

その上に、四女さんが元カレの子を妊娠していたことが分かったなど…で大混乱が発生した。

加えて祝行《のりゆき》が女性患者さんにセクハラをしたなどの疑いが出たなど…で愛媛県《けん》の医師会は祝行《のりゆき》に対するサモン委員会をひらくことを決定したなど…きわめて危険な状態におちいった。

ひどく傷ついたまさみは、出刃包丁でリスカをして命を絶った。

その日の夜でありました。

こうじは、広島市中区流川町にあるネットカフェにいた。

こうじは、持ち合わせがなくなった…

こうじは、店員さんに対して『警察署へ行きたい…』と言うて頼んだ。

こうじは、店員さんが警察署へ電話をしているうちに店から逃げ出した。

その後、下の階にあるメイドカフェに油をまいて火をつけた。

火は、またたく間に燃え広がった。

現場が大パニックにおちいった。

(ウーウーウーウー…)

消防車のサイレンがけたたましく鳴り響いていた。

こうじは、事件現場から無我夢中で走って逃げ回った。

それから2分後であった。

(ドスン!!)

こうじは、通りかかったやくざの男たち5人とぶつかった。

「オドレやるんか!!」
「ああ!!ぶっ殺してやる!!」

こうじは、5人のやくざたちと大乱闘をくり広げた。

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

こうじは、リーダーの男が持っていたトカレフで撃ち殺された。

やくざの拳銃《チャカ》で命《どたま》をぶち抜かれたこうじは、34年の廃人人生を終えた。

ぼくはどうして…

秋月の家の家族と折り合いが悪かったのか…

こんなことになるのだったら…

中国にいる本当のお母さんのもとに帰るのだった…

秋月の家に…

何もかもを奪われた…

ぼくの人生を返せ!!

ぼくが生きた34年の人生を返せ!!

【終】
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