【女の事件】黒いマタニティドレス
第2話
事件は、1999年7月27日頃に発生した。

この日、ひさこが結婚をあきらめた。

同時に、こうじが高校に復学をするメドが立たなくなった。

こうじの両親は、ひさこに対して結婚を…こうじに対して学校へ行くこと…を一方的に強要した。

それが原因で話し合いがこじれた。

そんな中であった。

うぐいす色のプッシュホンのベルがけたたましく鳴り響いた。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

こうじの母が電話に出た。

電話は、こうじの兄の妻からであった。

深刻な事件は、この時から始まった。

「もしもし…(兄の妻)さん…どうしたのよ…泣いていたら分からないでしょ!!はっきりと言いなさい…(兄)がどうしたと言うのよ…いえ、来てないわよ…だから…ほんの小さなことが原因によるケンカだったらひとことあやまればいいのよ!!…夫婦ゲンカは『ごめんなさい』とあやまれば済みます!!とにかく、あなたがごめんなさいとあやまるのよ!!」

(ガチャーン!!)

こうじの母は、受話器ごしにいる嫂《あによめ》に対して一方的に強要したあとガチャーンと電話を切った。

その後、両親はひさことこうじに対する説得を再開した。

しかし、ひさこは『結婚しない!!』と言うて拒否したあと両親に対して『アタシにカンショウしないでよ!!』と怒鳴りつけたあと部屋に閉じこもった。

両親は、こうじに対して学校へ行けと強要した。

『高校は楽しいよ。』
『お友だちと楽しい時間を過ごしてほしい〜』
『(近所の家の息子)くんは、家の事情で高校に行くことができなかったのよ。』
『夏休みと冬休みと春休みがないのはイヤでしょ…』
『もうすぐ、楽しい行事があるのよ…』
『高校時代は貴重な財産よ…』

…………

両親は、こうじに対してものすぐあつかましい声で高校へ行けと強要した。

両親から一方的に強要されたこうじは『ふざけるな!!ぶっ殺してやる!!』と怒鳴り声をあげた。

結局、話し合いはこじれた。

両親は、明日の朝に改めて話し合いをすることにした。

翌朝6時半頃だった。

うぐいす色のプッシュホンのベルがけたたましく鳴り響いた。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

こうじの母が電話に出た。

電話は、光市内《しない》の警察署からかかってきた。

「もしもし…山口県警…山口県警がうちに何のご用でしょうか…(こうじの兄)はうちの息子ですが…(こうじの兄)のイヒン…もしもし、もしもし…(こうじの兄)が事故か事件に巻き込まれた…もしもし!!」

警察署からの知らせを聞いたこうじの母は、めまいを起こしながらつぶやいた。

こうじの兄が事故か事件に巻き込まれた…

一体なにがあったのよ…

知らせを聞いたこうじの両親は、大急ぎで警察署へ向かった。

ところ変わって、警察署のミーティングルームにて…

「くすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

ミーティングルームにこうじの兄の妻がいた。

カノジョは、くすんくすんと泣いていた。

こうじの両親は、ひどくコンワクした。

この時、近くにいた警官がこうじの両親に対して『最悪の事態に至る可能性がありますので覚悟してください。』と言うたあとミーティングルームから出て行った。

こうじの兄は事故で亡くなったのか?

それとも、殺人事件に巻き込まれて亡くなったか?

どっちなのだ?

そして、その日の夜おそくだった。

ところ変わって、虹ヶ浜海水浴場にて…

この時、ひとりぼっちで海岸を歩いていた35歳の女性が若い男に襲撃された。

「イヤ!!やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてー!!」

女性を襲撃した若い男は、黒のジャンパー姿で恐ろしい模様の覆面をかぶっていた。

女性は、男が持っていた刃物で衣服をズタズタに切り裂かれたあとボロボロに傷つくまでレイプされた…

その後、刃物で刺されて亡くなった。

殺された女性は、こうじの嫂《あによめ》と離婚した前のダンナの妹さんだった。

お見合いで出会った婚約者の男性と幸せイッパイで、何もかもが順調だった。

そんな中で、カノジョはオジョクを受けたあと殺された…

男は、証拠を全部持ち出したあと逃走した。

その翌朝6時過ぎだった。

この時、60代の近所の主婦が近くを通りかかった。

女性は、ボロボロに傷ついた女性の遺体を目の当たりにしたので悲鳴をあげた。

「ひっ…ぎゃあああああああああああああ!!」

それから20分後であった。

海水浴場の駐車場に山口県警《けんけい》のパトカーがたくさん止まっていた。

事件現場のビーチでは、刑事たちが現場検証を行っていた。

容疑者に結び付く有力な手がかりは見つからなかった。

山口県警《けんけい》の捜査一課の刑事たちはイライラキリキリしていた。

7月30日の午前中であった。

こうじは、両親と一緒に警察署へ行った。

こうじは、任意で事情聴取を受けるハメになった。

刑事たちからかアレコレとめんどいことを聞かれたこうじは、ものすごくいらついた。

何でケーサツは、ぼくを疑うのだ…

任意聴取の結果、こうじは事件が発生した時間帯は家の中にいたと言うアリバイが成立した。

こうじはムザイホウメンでシャクホウされた。

ケーサツは、こうじに対して改めて呼ぶ時がありますと伝えたあと『規則正しい生活を送りなさい!!』とたしなめた。

それから数分後だった。

こうじは、両親と一緒に警察署から出た。

この時、嫂《あによめ》の前のダンナと鉢合わせした。

嫂《あによめ》の元ダンナは、ヤクザの男ふたりを連れていた。

ヤクザの男は、赤色と龍のうろこの派手なシャツを着ていた。

「アニキ!!この男に間違いないですか!?」
「この男に間違いない!!」
「わかりやした!!」

このあと、赤色の派手なシャツを着た男がこうじに殴りかかった。

「ふざけるな!!」

思い切りブチ切れたこうじは、ヤクザの男ふたりをボコボコに殴りつけた。

その後、こうじは嫂《あによめ》の前のダンナとヤクザの男ふたりを龍の模様のシャツを着た男がもっていたドスでメッタ刺しにして殺した。

こうじは、居合わせた警察官3人によって取り押さえられた。

こうじは殺人罪で逮捕された。

逮捕されたこうじは、極度の精神不安におちいったので取り調べ中に意味不明の言葉を言うなどしたので、ケーサツの簡易鑑定《かんてい》を受けた。

鑑定の結果、こうじは重度のシンシンソウシツで刑事責任能力がないと判断された。

…ので、こうじはシャクホウされた。

山口県警《けんけい》は、こうじを重要参考人のリストから外すことを決定した。

その日の夜遅くだった。

よりし烈な怒りに震えていたこうじの両親は、嫂《あによめ》を家に呼び出した。

こうじの両親にとつぜん呼び出された嫂《あによめ》は、大混乱を起こした。

嫂《あによめ》は、こうじの両親に対して泣きながら言うた。

「ひどい…あんまりだわ!!アタシがヤクザを利用してこうじさんを殺そうとしたと言うのですか!?」
「ええ、その通りよ!!あんたの前のダンナがヤクザとグルになって(こうじの兄)を殺した!!…そして、こうじを殺そうとした!!…だからもう許さないわよ!!」
「だから、アタシにどうしろ言うのですか!?」

こうじの父親は、嫂《あによめ》に対して怒鳴り声をあげた。

「ふざけるな!!オドレの前のダンナがヤクザとつながりがあったことを知ったので、わしらは強行手段に出るぞ!!オドレのきょうだいは、東京に本社がある大手企業に内定したみたいだな…今回の事件を理由にオドレのきょうだいの内定を取り消すことを求めるぞ!!」

こうじの父親からおどされた嫂《あによめ》は『ひどい…あんまりよ!!』と泣き叫んだあと家から出て行った。

そして、7月31日の明け方だった。

嫂《あによめ》が自宅のリビングで命を絶った。

リビング内にガスが充満していた。

この時、家にいた子どもたちふたりも巻き添えに遭った。

ふたりの子どもたちは、意識不明の重体におちいった。

事故現場がきわめて危険な状態におちいったので、消防車両や救急隊員が近づくことができなかった。

この時、事故現場の地域一帯に緊急安全確保が発令された。

今回の一件が原因で、こうじの家族間の関係が壊れ始めた。
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