くの一反省帖2〜カステラが待ってる〜
黒崎組からの報告を待つ十兵衛に平尾は

「今まで、何の手がかりも掴めず腹を斬ってお詫びせねばと思ってた時に田島様と、この娘子達がやって来て…何やらトントン拍子に手がかりを掴めるとは想像だにしておりませんでした」

と感慨深げに呟き、さらに続けて

「殿の命を救ったとの噂…この目で見るまで信じられませんでした…もっとも見たら、さらに信じられませんでしたが…」

そんな平尾の上機嫌な長ゼリフを黙って聞いていた十兵衛は

(この男…事ここに至っても人任せとは…呑気すぎる。重要な任務には力不足ではあるまいか?)

とウキウキ顔の平尾をしかめっ面で見ていた。
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