エリート弁護士は生真面目秘書を溺愛して離さない

4 デート

 次の土曜日はすぐにやってきた。

「あっ、先生! おはようございます」

 よく晴れた空の下、自宅アパート前にやってきた黒のBMWに慄きながら、由依は手を振った。

(本当に鞘白先生とデートするの? 私が?)

 運転席から下りてきた鞘白が微笑み、小花柄のワンピースをまとった由依を一瞥する。

「おはよう、待たせたか」
「い、いえ」

 自宅まで迎えに来てもらっておいて待つも何もない。狼狽えながらも由依は鞘白を差し仰ぎ、ぼうっとしてしまった。

 今日の彼は事務所で会うのとは違って、前髪を軽く下ろし、カジュアルな格好をしている。清潔感のある白っぽいシャツにカーキ色のテーラードジャケットが長身によく映えていた。

 思わず声を失って見惚れていると、鞘白が怪訝そうに首を傾げる。

「どうかしたか?」
「な、なんでもありません」
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