私たちは信じない!(葵と希菜子の学園生活)
第二章 花嫁行列
第十話 花嫁行列
あれから。なんやかんやあって。
校長も代わり学園はまた落ち着いた頃。
葵と希菜子は土曜の校内清掃の帰り、とても縁起が良いものを見た。
花嫁行列だった。
葵と希菜子は近くの高校に通う女子校の高校生。
夏休みに入ったのだが当番制で部活やサークルに入ってるものは七月八月のどこかで掃除をしなくてはならないのだ。
今日は夏にしては珍しく暑いことは間違い無いが曇り空である。風もありなんとか涼しい。
神社の前、人が多いとは思っていたのだが花嫁行列か、と葵は汗を拭おうとすると希菜子がさっと花柄のタオルハンカチを差し出した。
「手で拭うなんてレディとしてはみっともないですわ」
「レディ、なんて……」
葵は苦笑いしてタオルハンカチを受け取った。ほのかにいい柔軟剤の匂いがする。
「にしてもこんな暑い中ようやるわな」
「そっちの方が先? まだ今日は涼しい方よ」
「たまたま今日涼しかっただけで博打みたいね」
「もう、葵ったら。聞こえたらどうするの」
しーっ、と希菜子は人差し指を口に当てた。
神社の境内の中を練り歩く花嫁行列。今では減ったが昔はこのように地域の結婚式はこの神社で参拝した後に近所のホテルで披露宴をするのが慣らしと言うか暗黙の了解があった。
しかし近年につれておしゃれな披露宴会場ができたり、他県の広いホテルやリゾートで式をあげたりそもそも結婚式をしないカップルが増えたらしい。
だからこのようにこの神社で花嫁行列をするものは減り、見れた人たちは宝くじが当たったかのように稀な出来事であり、偶然見たらラッキー、と言われるくらいである。
校長も代わり学園はまた落ち着いた頃。
葵と希菜子は土曜の校内清掃の帰り、とても縁起が良いものを見た。
花嫁行列だった。
葵と希菜子は近くの高校に通う女子校の高校生。
夏休みに入ったのだが当番制で部活やサークルに入ってるものは七月八月のどこかで掃除をしなくてはならないのだ。
今日は夏にしては珍しく暑いことは間違い無いが曇り空である。風もありなんとか涼しい。
神社の前、人が多いとは思っていたのだが花嫁行列か、と葵は汗を拭おうとすると希菜子がさっと花柄のタオルハンカチを差し出した。
「手で拭うなんてレディとしてはみっともないですわ」
「レディ、なんて……」
葵は苦笑いしてタオルハンカチを受け取った。ほのかにいい柔軟剤の匂いがする。
「にしてもこんな暑い中ようやるわな」
「そっちの方が先? まだ今日は涼しい方よ」
「たまたま今日涼しかっただけで博打みたいね」
「もう、葵ったら。聞こえたらどうするの」
しーっ、と希菜子は人差し指を口に当てた。
神社の境内の中を練り歩く花嫁行列。今では減ったが昔はこのように地域の結婚式はこの神社で参拝した後に近所のホテルで披露宴をするのが慣らしと言うか暗黙の了解があった。
しかし近年につれておしゃれな披露宴会場ができたり、他県の広いホテルやリゾートで式をあげたりそもそも結婚式をしないカップルが増えたらしい。
だからこのようにこの神社で花嫁行列をするものは減り、見れた人たちは宝くじが当たったかのように稀な出来事であり、偶然見たらラッキー、と言われるくらいである。