この悲しみも。……きっといつかは消える
それで取り敢えずの挨拶は済んだのか、エリンは今度はミルドレッドの方に向き直った。
「レイウッド伯爵様の……お聞き致しました。
この度はお悔やみ申し上げます。
とても、とても、素晴らしいお人柄の御方でした」
ジャーヴィスに向けた、華やかな笑顔を消して。
ミルドレッドに、夫へのお悔やみの言葉を他人が伝えてくれたのは、彼女が初めてだった……
それも敬意と哀しみを込めて。
もしかしたら、エリンが喪服ではないが黒いドレス姿なのは、ミルドレッドを思い量って、着替えて来てくれたのかもしれない。
実際、エリンの唇には紅は引かれていない。
「……ご丁寧にありがとうございます。
わたくしの方こそ、主人がお世話になりましたのに、今までご挨拶にお伺いもせず、ご無礼致しました」
ミルドレッドがお悔やみのお礼を返すと、エリンは何か言い掛け、一瞬唇を噛んだように見えた。
そして。
「伯爵様が次に王都へ来られた時に、お渡ししなくてはならないものがあったんです。
奥様にお渡ししても、よろしいでしょうか?」
「主人に渡すものですか?」
「レイウッド伯爵様の……お聞き致しました。
この度はお悔やみ申し上げます。
とても、とても、素晴らしいお人柄の御方でした」
ジャーヴィスに向けた、華やかな笑顔を消して。
ミルドレッドに、夫へのお悔やみの言葉を他人が伝えてくれたのは、彼女が初めてだった……
それも敬意と哀しみを込めて。
もしかしたら、エリンが喪服ではないが黒いドレス姿なのは、ミルドレッドを思い量って、着替えて来てくれたのかもしれない。
実際、エリンの唇には紅は引かれていない。
「……ご丁寧にありがとうございます。
わたくしの方こそ、主人がお世話になりましたのに、今までご挨拶にお伺いもせず、ご無礼致しました」
ミルドレッドがお悔やみのお礼を返すと、エリンは何か言い掛け、一瞬唇を噛んだように見えた。
そして。
「伯爵様が次に王都へ来られた時に、お渡ししなくてはならないものがあったんです。
奥様にお渡ししても、よろしいでしょうか?」
「主人に渡すものですか?」