この悲しみも。……きっといつかは消える
エリンは直ぐ様、作業室へ飛び込んだ。
西区にはローラの家があり、自宅で仕事をしている彼女の夫は、足が不自由だ。
彼がうまく逃げられたのか、自宅は燃えていないか。
ここでは分からない。
娘のメラニーは、エリンの自宅部分で子守が面倒を見ていた。
言葉もなくローラが飛び出して行き、それを見送ったのが、彼女を見た最後になった。
隣家の老女を助けて、自分が逃げ遅れてしまった夫を探して、ローラは燃え盛る炎の中に飛び込んで行ったと、エリンは後から聞いた。
夫婦共に天涯孤独だったフェルドン夫妻が亡くなった後も、エリンはそのままメラニーを預かっていた。
夜会で親しくなったレイウッド伯爵本人から「兄嫁のローラをよろしくお願いします」と就職をお願いされたのだが、領地に居る彼にふたりの死を知らせる連絡を取るのは躊躇われた。
伯爵が王都へとやって来たら、お話しよう。
「何故もっと早くに知らせなかった」と責められても、それは黙って受けようと思っていた。
何故ならフェルドン夫妻は、出来るだけ弟には迷惑をかけたくないし、父も亡くなっているから絶対に弟以外のアダムス家の人間とは関わりたくないと、口にしていたからだ。
西区にはローラの家があり、自宅で仕事をしている彼女の夫は、足が不自由だ。
彼がうまく逃げられたのか、自宅は燃えていないか。
ここでは分からない。
娘のメラニーは、エリンの自宅部分で子守が面倒を見ていた。
言葉もなくローラが飛び出して行き、それを見送ったのが、彼女を見た最後になった。
隣家の老女を助けて、自分が逃げ遅れてしまった夫を探して、ローラは燃え盛る炎の中に飛び込んで行ったと、エリンは後から聞いた。
夫婦共に天涯孤独だったフェルドン夫妻が亡くなった後も、エリンはそのままメラニーを預かっていた。
夜会で親しくなったレイウッド伯爵本人から「兄嫁のローラをよろしくお願いします」と就職をお願いされたのだが、領地に居る彼にふたりの死を知らせる連絡を取るのは躊躇われた。
伯爵が王都へとやって来たら、お話しよう。
「何故もっと早くに知らせなかった」と責められても、それは黙って受けようと思っていた。
何故ならフェルドン夫妻は、出来るだけ弟には迷惑をかけたくないし、父も亡くなっているから絶対に弟以外のアダムス家の人間とは関わりたくないと、口にしていたからだ。