この悲しみも。……きっといつかは消える
 これは、自分が生きている限りアダムスには関わらないと、ウィラード本人が決めて、その誓いを尊重した父親からサインを貰ったと言うことだ。



 足が不自由で力仕事や立ち仕事が出来なかったウィラードは、西区の自宅で職人相手の契約書や書類作成、代筆の仕事に就いていたので、内容に不備はない。


 日付は、3年前のメラニーの誕生日から半年後だ。
 メラニーの誕生日は、エリンから教えられ、出生証明書ででも確認出来た。



 ウィラードとローラは、スチュワートから金を受け取ってはいなかったが、マリーはそれを知らなかった。
 それだけでも、全てを話していないローラがマリーを信用していなかったこともわかった。




 もうすぐ約束の時間だ。
 ウィラードが作成した誓約書の隣には、ジャーヴィスが持参した書類や契約書がある。
 邪魔者が居ないこの場で、マリー・ギルモアにサインさせようと、大急ぎで用意された重要書類だ。


 テーブルの上に積み上げられたその1枚1枚を、ジャーヴィスは見落としがないか、改めて確認している。
 

「……それも、本気で?」

「あぁ、ミリーからスチュワートの愛人が乗り込んで来たと聞かされた時から、この女は使えると考えていた」

「訪ねて来たのが、本物のローラだったとしても?」

「……本物のローラだったら、また別の方法を考えた。
 だが本物は亡くなって、偽物がのさばっている。
 利用したって、良心は全く痛まないね」





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