この悲しみも。……きっといつかは消える
「1つめは、ご主人に生き写しの子供が現れたが、どうしてもご主人の娘とは信じられない。
 何処かにご主人に似た男性が居るのではないか。
 2つめは、娘を連れてきた女性はあやふやなことを言い、肝心の証拠を示さない。
 これは誰かからご主人の話を聞いて、中途半端な情報でここまで来たのだろうから、名前も多分偽っている。
 そして、最後の3つめが一番肝心だと。
 それは愛人が乗り込んできた伯爵様の汚名を晴らすことです」



 立て板に水の如く、すらすらと話すイアンの説明に、ミルドレッドは驚いた。
 自分がスチュワートの抱えていた一族の秘密を知ったのは、兄よりもイアンよりもずっと後の事なのに。
 最初はローラを彼の愛人だと思い込み、何もかも投げ捨て実家へ逃げたのだ。

 それなのに、スチュワートを信じた自分が依頼したことになっている。
 その上、名鑑のエルネストとウィラードの話から、順番通りに始めるのかと思っていたが……



「レイウッド伯爵様に似た男性となると、考えられるのはアダムス本家の血縁の方々になります。
 そう、丁度こちらにおいでになる3名の……」


 始めにその話を遮ったのは、それまで黙っていたカールトンだった。


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