この悲しみも。……きっといつかは消える
第43話
お前の調査等、何だ。
大層に言うが、たったこれだけの話だ。
あのウィンガムの若造も、戻ってこない。
もう話は打ち切って、私は帰る。
リチャードはイアンに、そう宣言して。
帰宅して心を落ち着かせようと思っていたのに。
記憶から消したいグロリアを思い出させた、この忌々しい男は。
理由を聞かせてやった私を無視して、あの役立たずな侍女に話し掛けている。
「バークレー嬢、貴女は何かお聞きになっていませんか?
グロリア様は貴女にとっても、ご先祖に当たる」
「……奥様がご命じになるのでしたら、ご説明致します」
「おい! 離縁の理由は、今私が話してやった!」
リチャードが声をあげても、レナードさえもが、彼を見なくなっていた。
イアンの質問に、ユリアナは答えながら思っていた。
さっきまで、あの夜がミルドレッド様の『いざ』だと思っていたけれど、本当はこれからが『いざ』の時なのかも、と。
「いいわユリアナ、説明してちょうだい。
わたくしも是非、本当の話を知りたいの」
「駄目だユリアナ!
お前はアダムスの人間だろうが!」
ミルドレッドの声を掻き消すように、リチャードはまた大声をあげ、立ち上がりかけたが隣のカールトンに阻まれた。
今では彼も、真実が知りたいのだ。
大層に言うが、たったこれだけの話だ。
あのウィンガムの若造も、戻ってこない。
もう話は打ち切って、私は帰る。
リチャードはイアンに、そう宣言して。
帰宅して心を落ち着かせようと思っていたのに。
記憶から消したいグロリアを思い出させた、この忌々しい男は。
理由を聞かせてやった私を無視して、あの役立たずな侍女に話し掛けている。
「バークレー嬢、貴女は何かお聞きになっていませんか?
グロリア様は貴女にとっても、ご先祖に当たる」
「……奥様がご命じになるのでしたら、ご説明致します」
「おい! 離縁の理由は、今私が話してやった!」
リチャードが声をあげても、レナードさえもが、彼を見なくなっていた。
イアンの質問に、ユリアナは答えながら思っていた。
さっきまで、あの夜がミルドレッド様の『いざ』だと思っていたけれど、本当はこれからが『いざ』の時なのかも、と。
「いいわユリアナ、説明してちょうだい。
わたくしも是非、本当の話を知りたいの」
「駄目だユリアナ!
お前はアダムスの人間だろうが!」
ミルドレッドの声を掻き消すように、リチャードはまた大声をあげ、立ち上がりかけたが隣のカールトンに阻まれた。
今では彼も、真実が知りたいのだ。