この悲しみも。……きっといつかは消える
第44話
応接室の中を、重い沈黙が支配していた。
うるさかったリチャードが、しばらく黙っていて。
抱いてくれているお気に入りのユリアナの胸に、耳を当てて。
彼女の静かなトーンの語りを聞いている内に、メラニーは眠っていた。
いつもこうして昼寝の時は、ユリアナに抱かれながら物語を聞かせて貰っているのだろうか。
3つの幼子にとっては、過去の血生臭い話も童話も同じで。
メラニーは本当に手のかからない子だ。
「旦那様を抱いたグロリア様が、階段から落ちかけたのは本当のことです。
メラニー様から旦那様を取り上げて、離れに連れていこうとしたグロリア様が、ご自分でドレスの裾を踏んで転び。
手放してしまった旦那様を、素早く身を挺して助けたのが、本邸の侍女見習いに入ったばかりのジュリア様でした。
階段から転がり落ちたジュリア様はその時大怪我をされましたが、旦那様には傷ひとつ無かったそうです。
付け加えたいのは、グロリア様とジュリア様の間には、それ以前の接点はございません」
自分の身を挺して、スチュワートを助けた。
これが、一族の中でも下位に属していたジュリア・タルボットが当代領主の後妻に選ばれた理由だった。
うるさかったリチャードが、しばらく黙っていて。
抱いてくれているお気に入りのユリアナの胸に、耳を当てて。
彼女の静かなトーンの語りを聞いている内に、メラニーは眠っていた。
いつもこうして昼寝の時は、ユリアナに抱かれながら物語を聞かせて貰っているのだろうか。
3つの幼子にとっては、過去の血生臭い話も童話も同じで。
メラニーは本当に手のかからない子だ。
「旦那様を抱いたグロリア様が、階段から落ちかけたのは本当のことです。
メラニー様から旦那様を取り上げて、離れに連れていこうとしたグロリア様が、ご自分でドレスの裾を踏んで転び。
手放してしまった旦那様を、素早く身を挺して助けたのが、本邸の侍女見習いに入ったばかりのジュリア様でした。
階段から転がり落ちたジュリア様はその時大怪我をされましたが、旦那様には傷ひとつ無かったそうです。
付け加えたいのは、グロリア様とジュリア様の間には、それ以前の接点はございません」
自分の身を挺して、スチュワートを助けた。
これが、一族の中でも下位に属していたジュリア・タルボットが当代領主の後妻に選ばれた理由だった。