この悲しみも。……きっといつかは消える
 それで結婚式や披露宴でも、彼女の様子を伺っていたが、特に熱い視線を花婿に向けるわけでもなく。
 恨みがましい怨嗟を花嫁に向けるわけでもなく。
 それは、どちらかと言えばユリアナの母だった。


 披露宴会場からふたりの姿が消えたので、席を立つと。
 内密の話が出来そうな場所だと予め下見していた部屋に、ユリアナが連れ込まれたのが見えた。
 


 実はその部屋が、今回の会見に使われているアダムス本邸の第1応接室で。
 ジャーヴィスがバークレー母娘の会話を立ち聞きした隣の部屋が、ハンナがユリアナに教えた『応接室の話が筒抜けに聞こえる所』だったのは、笑える事実だ。
 



 当時を思い出し、人知れず密かに笑っていると、足音が聞こえた。
 彼女達が来る方向に、わざと背中を向けていたジャーヴィスだ。
 それは勿論、サリーに逃げられない為だ。
 まあ、多分若いメイドが捕まえてくれるだろうが。


「お、お待たせ致しました!
 わたしも、わたしも、お話を伺ってもいいんですね!」


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