この悲しみも。……きっといつかは消える
さっきまでは、もう死にたいとまで思っていたミルドレッドだったのに。
リチャード・アダムスがゆっくり休めと優しかったのは、わたしに知られることなく、この話を進める為だった。
スチュワートの子供が流れても責めなかったのは、レナードとの間に子供が出来た時、継承争いが起きなくて済むからだ。
今の彼女の中にはリチャードに対する怒りがこみ上げてきて、不思議なほど力が湧いてくる。
絶対にレナードとの再婚など受け入れないと、ウィンガムに帰るのだ。
それは決して、こんな形で逃げ帰るのではなく。
わたしは堂々と、皆に見送られてあの家を出る。
前レイウッド伯爵スチュワートの未亡人として。
執事が馬車を出迎えて、降りるミルドレッドに手を差し出した。
その助けを借りながら、彼に「レナード様はいらっしゃるか」と尋ねた。
彼が頷いたので、後ろから続いて降りてきたユリアナに「レナード様にお会いしたいたいからと、ご都合を聞いてきて」と頼んだ。
今朝ブレックファストルームで会った時には、レナードはいつもと変わりなく見えた。
夫と子供を失った義姉を気遣い、食欲のない彼女に無理強いすることもなく、食べられそうなものを追加で給仕に命じていた。
つまり、知り合った頃から変わらない、優しく頼りになる義弟だ。
愛する女性も居て、結婚も決まっている彼が、自分との再婚など受け入れるはずがない。
リチャード・アダムスがゆっくり休めと優しかったのは、わたしに知られることなく、この話を進める為だった。
スチュワートの子供が流れても責めなかったのは、レナードとの間に子供が出来た時、継承争いが起きなくて済むからだ。
今の彼女の中にはリチャードに対する怒りがこみ上げてきて、不思議なほど力が湧いてくる。
絶対にレナードとの再婚など受け入れないと、ウィンガムに帰るのだ。
それは決して、こんな形で逃げ帰るのではなく。
わたしは堂々と、皆に見送られてあの家を出る。
前レイウッド伯爵スチュワートの未亡人として。
執事が馬車を出迎えて、降りるミルドレッドに手を差し出した。
その助けを借りながら、彼に「レナード様はいらっしゃるか」と尋ねた。
彼が頷いたので、後ろから続いて降りてきたユリアナに「レナード様にお会いしたいたいからと、ご都合を聞いてきて」と頼んだ。
今朝ブレックファストルームで会った時には、レナードはいつもと変わりなく見えた。
夫と子供を失った義姉を気遣い、食欲のない彼女に無理強いすることもなく、食べられそうなものを追加で給仕に命じていた。
つまり、知り合った頃から変わらない、優しく頼りになる義弟だ。
愛する女性も居て、結婚も決まっている彼が、自分との再婚など受け入れるはずがない。