この悲しみも。……きっといつかは消える
第47話
また……まただと、レナードは再び思い知らされる。
またこの言葉を、冷めた表情のミルドレッドに冷静に返された。
『頭が空っぽ』とは、勢いで言っただけだ。
それがここまで、彼女を怒らせていたとは思わなかった。
初めて会った13の時から、いいなとずっと想い続けてきた。
まだ婚約者だった兄とふたりで話している姿も、好ましかった。
嫁いできても、その想いは変えることが出来ず。
母からは「余計な気持ちは捨てなさい」と、言われたが。
父も兄も知らなかったと思う。
だから、王命を知られたあの日。
表面上だけでも同意して。
何を言われたとしても、罵ったりせず。
もっと彼女の心身に寄り添っていたなら……もっと。
もう、もう。
やり直せないのか。
これからは他の女には、目もくれないと誓う。
もう一度だけ、ちゃんと話す機会を……
そんなレナードの想い等知らぬミルドレッドが、部屋を静かに出ていく。
思わず、立ち上がりかけた彼を止めたのは、またもやこの男だ。
「レナード卿、これから貴方とマリー・マーチ様の政略婚について、ウィンガム伯爵様からご説明があります。
どうぞ、ご着席を」
またこの言葉を、冷めた表情のミルドレッドに冷静に返された。
『頭が空っぽ』とは、勢いで言っただけだ。
それがここまで、彼女を怒らせていたとは思わなかった。
初めて会った13の時から、いいなとずっと想い続けてきた。
まだ婚約者だった兄とふたりで話している姿も、好ましかった。
嫁いできても、その想いは変えることが出来ず。
母からは「余計な気持ちは捨てなさい」と、言われたが。
父も兄も知らなかったと思う。
だから、王命を知られたあの日。
表面上だけでも同意して。
何を言われたとしても、罵ったりせず。
もっと彼女の心身に寄り添っていたなら……もっと。
もう、もう。
やり直せないのか。
これからは他の女には、目もくれないと誓う。
もう一度だけ、ちゃんと話す機会を……
そんなレナードの想い等知らぬミルドレッドが、部屋を静かに出ていく。
思わず、立ち上がりかけた彼を止めたのは、またもやこの男だ。
「レナード卿、これから貴方とマリー・マーチ様の政略婚について、ウィンガム伯爵様からご説明があります。
どうぞ、ご着席を」