この悲しみも。……きっといつかは消える
第7話
個室に夫以外の男性とふたりきりで居たこと等、今まで一度もない。
今回、レナードが寝室で臥せっているミルドレッドを見舞ってくれた時には、いつも侍女長のケイトを伴っていた。
彼に会いたいと、ユリアナを通して言伝てたのは自分だが、私室に招いたつもりはない。
1階のファミリールームで。
勿論ふたりだけではなく、ハモンドかケイトに付いて貰って。
当然そのように想定していた。
「……取り敢えず、下で話を聞いて貰えたら」
「わざわざ1階に下りなくちゃだめなのかな?
ここでは出来ない話?
急いでいるようだから、来た方が早いと思ったんだけど?」
レナードの態度は自然に見えた。
自分が意識し過ぎているのかもしれないが、それでも。
「確かに急いだ方がいい話なの。
でも、ここじゃない方がいいから、部屋を移りましょう」
ミルドレットがソファから立ち上がり、部屋を出ようとするのに、扉近くに居るレナードは開けてくれない。
「外出はどうだったか尋ねたら……公園で、シールズ夫人に会ったとユリアナから聞いた。
その話をしたいんなら、ここの方がいいんじゃない?」
立ち竦むミルドレッドに、レナードはいつもの義弟とは違う笑いを見せた。
「その話って……どんな話なのか、貴方もご存じなの?」
「……先週、叔父上とふたりで、シールズ査察官に会って来たからね」
今回、レナードが寝室で臥せっているミルドレッドを見舞ってくれた時には、いつも侍女長のケイトを伴っていた。
彼に会いたいと、ユリアナを通して言伝てたのは自分だが、私室に招いたつもりはない。
1階のファミリールームで。
勿論ふたりだけではなく、ハモンドかケイトに付いて貰って。
当然そのように想定していた。
「……取り敢えず、下で話を聞いて貰えたら」
「わざわざ1階に下りなくちゃだめなのかな?
ここでは出来ない話?
急いでいるようだから、来た方が早いと思ったんだけど?」
レナードの態度は自然に見えた。
自分が意識し過ぎているのかもしれないが、それでも。
「確かに急いだ方がいい話なの。
でも、ここじゃない方がいいから、部屋を移りましょう」
ミルドレットがソファから立ち上がり、部屋を出ようとするのに、扉近くに居るレナードは開けてくれない。
「外出はどうだったか尋ねたら……公園で、シールズ夫人に会ったとユリアナから聞いた。
その話をしたいんなら、ここの方がいいんじゃない?」
立ち竦むミルドレッドに、レナードはいつもの義弟とは違う笑いを見せた。
「その話って……どんな話なのか、貴方もご存じなの?」
「……先週、叔父上とふたりで、シールズ査察官に会って来たからね」