この悲しみも。……きっといつかは消える
「……実はメラニーちゃんに会うまで、悩んでいたの。
 わたしが後見人なんて、荷が重すぎるのでは、って。
 彼はわたしに任せてもいいと思って……くれるかしら」

「今になって……お伝えすることを、お許しいただきたいのですが。
 当時はどうお伝えすればよいのか分からなくて。
 わたくしが口を出す問題ではないと存じ上げておりました。
 ですから、余計に奥様のお心を乱すのではないかと」

「何でもいいの。
 旦那様のことを教えて」

「……奥様がお子様を身籠られて。
 お身体が余りにもお辛そうで……旦那様も本当にご心配されておられました。
 それでわたくし、つい……バークレーの女なので……
 奥様がもし双子のお子様を身籠られているのならと。
 お叱り覚悟で、旦那様にお聞きしてしまったのです」

「……」

「余計なことをと、お叱りされると思いましたが。
 旦那様は仰せになりました。
『私は欲張りだから、与えられたものは、絶対に手放さない。
 誰にも文句は言わせない』。
 旦那様は奥様もお子様も、ご家族は誰ひとり絶対に手放さないと、ご決意なさっておいででした。
 アダムスを変えようとなさっていた旦那様なのです。
 手放すつもりの無い姪御様のメラニー様を、お任せ出来るのは奥様以外に居ないと、思われているに違いありません」


 
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