この悲しみも。……きっといつかは消える
レイウッド領都の華やかな店舗が立ち並ぶ本通りに、2台の馬車が停車した。
女性用のドレス専門店だが、子供服も少しは置いてあると言う。
ジャーヴィスの好みには遠く及ばないが、取りあえずメラニーの着替えの為に立ち寄った。
ミルドレッド達が乗った馬車に、手を貸す為にイアンが軽くノックをすると、しばらくしてユリアナが扉を開いた。
彼女の鼻が少し赤くなっていて、奥のミルドレッドもまた同じ様子に。
ふたりがずいぶん泣いていたことがわかった。
イアンが、努めて明るい声を出す。
「さあ参りましょう。
お兄様は、既に入店されましたよ。
いささかおかしくなってるあの御方がこの通りで、メラニー嬢のドレスをありったけ買い占める前に、ミルドレッド様が止めないと」
◇◇◇
レナード・アダムス・レイウッド伯爵とマリー・マーチ伯爵令嬢の婚礼の日取りが、4月初旬のレイウッドの花祭りの日と決まった。
領内の祭りの日に合わせた方が、アダムスに取っても都合がいいのではないかと提案したのは、花嫁の義兄ジャーヴィス・マーチ・ウィンガム伯爵だ。
女性用のドレス専門店だが、子供服も少しは置いてあると言う。
ジャーヴィスの好みには遠く及ばないが、取りあえずメラニーの着替えの為に立ち寄った。
ミルドレッド達が乗った馬車に、手を貸す為にイアンが軽くノックをすると、しばらくしてユリアナが扉を開いた。
彼女の鼻が少し赤くなっていて、奥のミルドレッドもまた同じ様子に。
ふたりがずいぶん泣いていたことがわかった。
イアンが、努めて明るい声を出す。
「さあ参りましょう。
お兄様は、既に入店されましたよ。
いささかおかしくなってるあの御方がこの通りで、メラニー嬢のドレスをありったけ買い占める前に、ミルドレッド様が止めないと」
◇◇◇
レナード・アダムス・レイウッド伯爵とマリー・マーチ伯爵令嬢の婚礼の日取りが、4月初旬のレイウッドの花祭りの日と決まった。
領内の祭りの日に合わせた方が、アダムスに取っても都合がいいのではないかと提案したのは、花嫁の義兄ジャーヴィス・マーチ・ウィンガム伯爵だ。