この悲しみも。……きっといつかは消える
 ミルドレッドからの手紙にはメラニーの近況等も綴られていて嘆くジャーヴィスの様子を知り、その時は笑って読んでいたのだが、こうして実際にそれに触れると。
 メラニーの著しい成長は喜ばしいことだが、ジャーヴィスの哀しみがイアンにもよく分かる。



「大人ですよ? もう直ぐ7歳になるんですもん。
 ミリーお姉様は、マナー教室の準備で一緒に行けないんだけど、この夏はヴィス様が外国に連れていってくれるので、お姉様から言葉と、レディとしてのた……しなみ?を習っています」

 
 まだ7歳になるまで半年以上ある6歳のメラニーは、丁寧に長く話すのは、上手ではないが。
 ミルドレッドから習っている外国語で、簡単な自己紹介を始めた彼女が話すのは、フェルナンド公が住む国の言語だ。


 レイウッドから戻る馬車の中でイアンが言った「人生は短い」が、ジャーヴィスを動かしたのかもしれないが、翌年彼はフェルナンに会いに行った。


 ジャーヴィスとフェルナンの関係が、現在どうなっているのかは知らないが。
 2ヶ国に分かれたままのふたりだが、その心は。
 3席間を取っていたあの頃より、近くに並んでいるのであろうことは、想像出来た。



「お姉様は、朝から厨房に居ますよ。
 この前からアナ姉様に特訓を受けてて……いらっしゃってて?」


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