この悲しみも。……きっといつかは消える
第2話
第一報は、「土嚢を積む現場に立ち会っていた伯爵様が足を滑らせた領民に手を延ばして、そのままふたりで濁流に飲み込まれてしまった。カールトン様も滑りかけたが、どうにか助かった」だった。
アダムス家にその報せをもたらしたのは、スチュワートの側に居たカールトンではなく彼の使いの者だったので、それ以上の詳しい話を聞くことが出来なかった。
ただ「伯爵様もあの流れじゃ……」と言葉を濁して、また現場へ戻るのか、雨の中へ再び出ていってしまったと言う。
対応したのは家令のハモンドで、ミルドレッドが直接そう言われたのではなかったから。
現時点でスチュワートが行方不明なのは確かだが、まだ死んだと決まった訳ではない。
ミルドレッドは「旦那様が亡くなりました」と伝えてきたケイトを叱った。
このまま寝室に籠って、泣き暮れて居てはいけない。
ガウン姿のまま階下へ降りたミルドレッドは、邸から出せるだけの男手を出して、スチュワートの捜索に当たらせることをハモンドに命じた。
ハモンドが頷いて、集まっていた使用人達に指示を出し始めたので、ケイトが取り敢えず着替えを、と促してきた。
アダムス家にその報せをもたらしたのは、スチュワートの側に居たカールトンではなく彼の使いの者だったので、それ以上の詳しい話を聞くことが出来なかった。
ただ「伯爵様もあの流れじゃ……」と言葉を濁して、また現場へ戻るのか、雨の中へ再び出ていってしまったと言う。
対応したのは家令のハモンドで、ミルドレッドが直接そう言われたのではなかったから。
現時点でスチュワートが行方不明なのは確かだが、まだ死んだと決まった訳ではない。
ミルドレッドは「旦那様が亡くなりました」と伝えてきたケイトを叱った。
このまま寝室に籠って、泣き暮れて居てはいけない。
ガウン姿のまま階下へ降りたミルドレッドは、邸から出せるだけの男手を出して、スチュワートの捜索に当たらせることをハモンドに命じた。
ハモンドが頷いて、集まっていた使用人達に指示を出し始めたので、ケイトが取り敢えず着替えを、と促してきた。