この悲しみも。……きっといつかは消える
    ◇◇◇



 ジャーヴィスは、レイウッドからの2通の手紙を繰り返し読み、考える。



 スチュワートと義兄としての付き合いは、彼がミルドレッドと本格的に交際し始めてから結婚して、亡くなるまでの4年間くらいしか無いが。
 高等学院では在籍が重なっていて、4学年下のスチュワートは真面目な奴だと、教師達からの評定は良かった。

 それを知っているのは、ジャーヴィスは生徒会長を務めていたので、他の学年の生徒の素行情報を入手出来る立場だったからだ。
 彼が在学中に女遊びをしているなんて話は聞いたことがなく、レイウッド領に帰ってからはそんな暇は無かっただろう。


 もし、それがミルドレッドの誤解ではなく本当の話だとしたら、スチュワート・アダムスは二面性を持った稀代の詐欺師だ。



 これは……レイウッドとの婚姻関係を解消するのに、使えるかもしれない。

 どうせ向こうは、急に現れたスチュワートの愛人と娘をどう扱うか決めかねて、身内でバタバタするだけだろう。
 それに水害で荒れた領内の整備も急がないといけない彼等は、直ぐには動けない。


 アダムスよりも早く動いて調べる必要があると、ジャーヴィスは頼りになりそうな男を思い浮かべた。



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