この悲しみも。……きっといつかは消える
「妻か!つまらん戯れ言は口にするな。
これからはスチュワートの妻よりも、レイウッド伯爵家の当主夫人として、己の立場を考えた言動を心掛けろ。
おい、お前!早くミルドレッドに伯爵夫人に相応しい格好をさせろ」
リチャードは彼女の言葉を遮り、部屋の隅に控えていたハモンドに偉そうに命じた。
カールトンの責任等、絶対に自分からは言い出さないつもりなのだろう。
ケイトが、リチャードはミルドレッドの気持ちなど分かろうともしないと言ったことは本当だった。
これから来ると言うシールズ査察官に、自分だけが早くも喪服を着ていると受け取られたくないのだ。
リチャードは今はアダムス子爵だが、この家で育ってきた次男だ。
当主のスチュワートが居ない今、彼の発言力は強くなっている。
リチャードと自分に挟まれたハモンドが気の毒で。
ミルドレッドが折れた。
そんなミルドレッドに感謝の眼差しを向けたハモンドがケイトを呼んだ。
ケイトと共に応接室を出ていくミルドレッドの耳にリチャードとハモンドの会話が聞こえていた。
「レナードはどうした?」
「……奥様のご指示でグレイズプレイスには人を出しましたので、もうすぐ帰られるかと」
「また、あの年増の平民女の所か!
……こうなったからには、早めに手を打たなくてはな」
これからはスチュワートの妻よりも、レイウッド伯爵家の当主夫人として、己の立場を考えた言動を心掛けろ。
おい、お前!早くミルドレッドに伯爵夫人に相応しい格好をさせろ」
リチャードは彼女の言葉を遮り、部屋の隅に控えていたハモンドに偉そうに命じた。
カールトンの責任等、絶対に自分からは言い出さないつもりなのだろう。
ケイトが、リチャードはミルドレッドの気持ちなど分かろうともしないと言ったことは本当だった。
これから来ると言うシールズ査察官に、自分だけが早くも喪服を着ていると受け取られたくないのだ。
リチャードは今はアダムス子爵だが、この家で育ってきた次男だ。
当主のスチュワートが居ない今、彼の発言力は強くなっている。
リチャードと自分に挟まれたハモンドが気の毒で。
ミルドレッドが折れた。
そんなミルドレッドに感謝の眼差しを向けたハモンドがケイトを呼んだ。
ケイトと共に応接室を出ていくミルドレッドの耳にリチャードとハモンドの会話が聞こえていた。
「レナードはどうした?」
「……奥様のご指示でグレイズプレイスには人を出しましたので、もうすぐ帰られるかと」
「また、あの年増の平民女の所か!
……こうなったからには、早めに手を打たなくてはな」