この悲しみも。……きっといつかは消える
 何らかの理由で、彼は彼女を援助したのに、ローラはその恩を仇で返した。

 幼いメラニーを連れて来て、援助の継続を求めてきた。
 彼が亡くなっていると知り、その上わたしが自分のことを聞いていないことを確認して。
 メラニーを「あのひとの娘」とわたしに言った。


 きっと今も、彼女はレイウッドで、皆の前でその嘘を続けているだろう。
 それは確かにスチュワートの名誉を汚している。



「ローラ・フェルドンは『あのひとの娘』と言いました。
 思い出しました、それまではずっと……
 スチュワート様にお世話になっていたとか。
 スチュワート様との約束とか。
 いちいち夫の名前を出していたのに、そのことだけは。
 『あのひとの娘』と言ったのです。
 これは嘘がばれた時に、自分はスチュワートの娘だとは一言も言っていないと逃げる為だったんですね」

「亡くなられたご主人には、もう弁明の場は与えられません。
 代わりに貴女が、レイウッド伯爵の名誉を挽回して差し上げてください」



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