この悲しみも。……きっといつかは消える
「はい、あの……兄様、わたしからギャレット様にお話をしてもいいでしょうか?」

「……どうぞ」


 一応、妹は自分を気遣っているので、よしとしようと思うジャーヴィスだ。



「ウィラード様と同じ年に亡くなっているアダムス一族の男性達は、同じ家から何人も出ていました。
 ギャレット様が仰られた通り、年齢は幅広く、その家の当主や子息……つまり後継者やその子供達も。
 これはウィラード様の死去に併せての粛清を受けたのではないか、と。
 その家の数はおよそ、レイウッド領内のアダムス一族の半数」

「……その通り」


 そう答えたのは、イアンではなくジャーヴィスだった。
 イアンは何も言わずに微笑んでいるだけだ。
 それでジャーヴィスは分かった。


 きっと今日の午後、ふたりはこの話をしていて、ジャーヴィスがスチュワートに遠慮して、はっきりとは口に出せなかったアダムス一族の過去を。
 イアンは自分で見つけ出せとミルドレッドに、何かしら発破をかけたのだろう。



「つまり……双子のウィラード様とエルネスト様は後継者争いをして、敗れた長男のウィラード様は亡くなり、彼を支持した家は、老人から幼児を除く少年まで男性は、次男のエルネスト様によって粛清されてしまった。
 ……現在のアダムスは驚くほど、一枚岩で結束が固いのです。
 それは、一族を二分した過去があったから……ですね?」

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