この悲しみも。……きっといつかは消える

第27話

 明日からは実際に動くとジャーヴィスは宣言した。
 リチャード・アダムスが動く前に、こちらが有利になるカードを手に入れる短期決戦だと。


 その有利なカードも、短期決戦の意味も良く分からなかったが、とにかくリチャードの鼻をあかすのなら賛成だ。
 だから、今夜は3人で自分の考察を話そうと言うので、ミルドレッドも臆せずに話すことが出来た。


「今のアダムスは、とにかく本家の長男を優先します。
 その次は次男。
 ですからスチュワートの……死去後も領地の仕事とは関わっていないレナードが継ぐことを、誰からも反対がありませんでしたし、一族全員で彼を支えようとしていました。
 これはどうしてなんでしょう?
 エルネスト様が兄から後継者の座を奪ったのなら、一族繁栄の為なら子孫にも実力主義を全うするよう伝えるのではないかと、思うのですが」

「一族を巻き込んでの家督争いを、エルネスト自身は望んでいなかったのでは?」


 ミルドレッドの問いに答えたのは、今度はイアンだった。
 思わぬ意見にミルドレッドが驚いていると、ジャーヴィスがエルネストの名前の横に記された文字を指した。



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