この悲しみも。……きっといつかは消える
「こんな昔の話をずっとしてきたのは、あの家に嫁いだ貴女には無関係な話ではないからです。
 アダムス家は過去を、当主の妻である貴女に隠してきた。
 もし貴女がレイウッド伯爵との間に双子を授かれば、その時初めて知らされる話だったと言うことですね」

「……」


 ミルドレッドは相槌も打たずに、固い表情をしている。
 イアンはスチュワートがどんな男だったのか知らないから、淡々と事実をミルドレッドに突き付ける。



「では、この先は、貴族名鑑から離れます。
 これまで話してきたアダムスの歴史から考え得る仮定の話をしましょう。
 私とジャーヴィス先輩は多分同じように、今回の一件を仮定しています。
 恐らく、貴女のご主人は双子で、本家の次男です。
 何らかの理由により兄ではなく、ご主人が後継者に選ばれた。
 選ばれなかった方の長男は、母親のメラニーとレイウッドを離れ、王都で成長し、その後結婚して子供が生まれました。
 それがメラニー・フェルドンです。
 ご主人に生き写しなのは、父親と同じ顔をしているからでしょう」

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