この悲しみも。……きっといつかは消える

第28話

 ミルドレッドはスチュワートから何も聞いていなかった。

 かつてアダムスが双子同士で争い、領内が2つに割れてしまったこと。
 その結果、アダムスでは双子はどちらかしか、本家では育てなくなったこと。 
 そして、自分が本当は長男ではなく、次男として生まれたこと。


 それらが仮定ではなく真実で、黙っていられたのだとしたら。
 メラニーがスチュワートに生き写しなのは、双子の兄の子供だから、と言う仮定は喜べる、だが……


 愛人や隠し子とは、また別の意味で衝撃的だった。
 生まれてくる子供のことなら、自分は無関係ではないからだ。


 ジャーヴィスに「隠し子の他に秘密があるのなら、全て知りたい」と偉そうに言ったのに。
 それは自分に関することではないと、どこかで一線を引いていたから言えたのかもしれない。
 だからいざこうして、仮定の話だとしても目の前に突き付けられると……



 ジャーヴィスにはスチュワートがどういうつもりだったのかは、わからない。
 双子さえ生まなければいいと、一生ミルドレッドには話さないつもりだったのか。

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