インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
2 ツインタワーレジデンス
幸せは続かない。幸せの次には、必ず不幸がやって来る。

一昨日、私と義貴さん――婚約したので名前呼びになった――は正式に婚約をした。
父が私に新しい住居を用意していると聞いたのは、そのすぐ後のこと。

Shiiba社の広大な敷地のすぐ横、河川敷にツインタワーのレジデンスが建築中なのは知っていたが、それは最近竣工していたようで。しかもその施工主は父で、南側棟は妹に、北側棟は私にそれぞれ最上階の部屋を渡すつもりだったらしい。

父が妹の婚約をこのタイミングにしたのは、このためだった。婚約者と二人暮らしをさせるつもりだったのだ。

私には折を見て話し、あの御屋敷から追い出すつもりだったのだろう。けれど、先に私と婚約したい人物が現れ、私がここに、先に引っ越すことになった。

社長的には、私を追い出せるのなら何でも良かったのだと思う。妹には、まだ婚約者候補が二人も残っているのだから。
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