インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
「あの時期は、ウェルフォードパークのスノードロップが見事だったな」
スノードロップ。その花の名前に、はっとした。
「どうした?」
義貴さんが、ピクリと反応した私に気がついたらしい。
「あ、いえ。私、ニューベリーに住んでいたんです。ウェルフォードパーク、懐かしいなあと思いまして」
「そうなんだね」
懐かしいだけでない。春の訪れを告げる、白い鈴のような愛らしいスノードロップの花。〝希望〟という花言葉のついたその花には、特別な想いがある。
ウェルフォードパークのスノードロップの花畑に感化された幼い私は、母に頼んで自宅の庭にスノードロップを植えてもらった。毎日お世話をして、冬の終わりに花が咲いた。父が亡くなったのは、それからすぐのことだった。
後で知ったことだが、スノードロップを家に持ち込むと、不幸が起こるという言い伝えがある。
父が死んだのは、私がスノードロップが欲しいと母に言ったから。私が庭先に、綺麗な花を咲かせてしまったから。
父を死に追いやったのは、私かもしれない。
そういう想いもあるのに、私は自分の罪から目を背け、その後の自分の不遇な運命を全てあの悪魔のせいにしている。
そんな愚かな思考を義貴さんには悟られたくなくて、私は無理やり笑顔を浮かべた。
「父と母との、数少ない思い出の場所なんです」
スノードロップ。その花の名前に、はっとした。
「どうした?」
義貴さんが、ピクリと反応した私に気がついたらしい。
「あ、いえ。私、ニューベリーに住んでいたんです。ウェルフォードパーク、懐かしいなあと思いまして」
「そうなんだね」
懐かしいだけでない。春の訪れを告げる、白い鈴のような愛らしいスノードロップの花。〝希望〟という花言葉のついたその花には、特別な想いがある。
ウェルフォードパークのスノードロップの花畑に感化された幼い私は、母に頼んで自宅の庭にスノードロップを植えてもらった。毎日お世話をして、冬の終わりに花が咲いた。父が亡くなったのは、それからすぐのことだった。
後で知ったことだが、スノードロップを家に持ち込むと、不幸が起こるという言い伝えがある。
父が死んだのは、私がスノードロップが欲しいと母に言ったから。私が庭先に、綺麗な花を咲かせてしまったから。
父を死に追いやったのは、私かもしれない。
そういう想いもあるのに、私は自分の罪から目を背け、その後の自分の不遇な運命を全てあの悪魔のせいにしている。
そんな愚かな思考を義貴さんには悟られたくなくて、私は無理やり笑顔を浮かべた。
「父と母との、数少ない思い出の場所なんです」